#私だけのアイドルだったのにな選手権 本選
皆様、お疲れさまです! つのです!
#私だけのアイドルだったのにな選手権、いよいよ本選になりました。予選ではたくさんのご投票、ありがとうございました!感想も楽しく眺めさせていただきました…。
さて、355エピソードあったエピソードも予選を経て20エピソードに絞られました。それぞれのブロックで一番得票数が多かった珠玉のエピソードが集まっています。
本選では、この20エピソードの中から好きなエピソードを1つだけ選んで投票してください!よろしくお願いいたします。
なお、同ブロック内で同じ得票数を得たエピソードはいずれも本選に進出しています。(だからエピソード数が16より多いんやね~)
また、今回選ばれた16エピソード以外のエピソードについても、どれも本当に素晴らしく最高のものばかりでした…。天才しかおらん…。予選第1~第16ブロックは今後も公開いたしますので、ぜひまだチェックしていないブロックがあればぜひ読んでみてくださいね~!
では、いよいよ本選です。
- 1.渡辺みのり
- 2.若里春名
- 3.柏木翼
- 4.伊集院北斗
- 5.東雲荘一郎
- 6.硲道夫
- 7.古論クリス
- 8.牙崎漣
- 9.桜庭薫
- 10.黒野玄武
- 11.桜庭薫
- 12.ピエール
- 13.硲道夫
- 14.水嶋咲
- 15.都築圭
- 16.古論クリス
- 17.水嶋咲
- 18.古論クリス
- 19.握野英雄
- 20.舞田類
- 投票はこちらから!
1.渡辺みのり
大学時代、一人暮らししていたアパートに帰る途中にある商店街でみのりさんに一目惚れして、それ以降お花屋さんに通っていました。正直特別花が好きというわけではなかったけど、みのりさんと少しでも長く話したくて花についてたくさん質問しているうちに詳しくなってしまいました。結局大学4年間健気にお店に通い続けましたが、特に何もできないままその町から引っ越しました。その時はまたお店に行けば会えるかなくらいの気持ちだったので、アイドルになったと知った時は少し寂しかったです。 お花屋さんの時は年上の落ち着いたお兄さんとしか思っていませんでしたが、テレビで大好きなアイドルについて熱く語るみのりさんを見て、こんな一面もあるのかと驚くと共に、改めて全然脈がなかったんだな〜と笑ってしまいました。貴重な大学の4年間を花屋のお兄さんへの片想いに費やしていたのはもったいなかったかなと思うこともありましたが、無事素敵な旦那さんに出会えた今では良い思い出です。 先日、ファンレターで「結婚式でBeitの曲を流しました」という報告をしたら、綺麗な押し花と共に「結婚おめでとう。言ってくれたらブーケの花選んだのに!」というメッセージカードが返ってきて、神ファンサにひっくり返りました。言ってくれたらって言うわけないじゃん!あんなにかっこいいアイドルが今でも私の名前を覚えててくれるんだから、4年間の恋もちょっとは報われたかなと思います。今も昔も、みのりさんは私にとってのアイドルです!
2.若里春名
ラフな接客、若干着崩された制服、正直最初はびっくりした。なんていうか、貫禄があって。歳上かと思ってずっと敬語使ってました笑 私に初めてお仕事を教えてくれた人。 夕日のように眩しい髪色、華奢な腕に似合わない大きい荷物。引き継ぎノートや精算表に並ぶ彼の文字は丸くてとてもかわいかったんだ。 全日制の学校だとは思ってなかったし、いつシフトに入っても会えるからメアド交換もしてないよ。いつからか見掛けなくなって、ホントにそれきり。 次に会えたのは画面の向こうだった。 腕、鍛えたのかな。ていうか肩幅もしっかりして、時の流れを感じた。力強い音を出すその姿は私の知らない彼だった。 あのサインに描いてるイラストも、引き継ぎノートによくいたんだよ。 あのイラストかわいかったし、彼の文字が好きで写メって待ち受けにしてたなあ。 私に初めてをくれた憧れの人。 同い年だって知ってたら、春名くんって呼べたのかな。ね、若里さん。
3.柏木翼
私は普通の人より食べる量が多いです。 高校生のときに、文化祭の打ち上げで食べ放題の焼肉屋さんに行きました。食べ放題ということで、お金のことを考えずに食べられると思い、気の向くままに食べていたのですが、途中からクラスメイトの視線が私に向いてることに気づきました。視線に気づくと今まで聞こえていなかった声まで聞こえました。 「よくあんなに食べられるな」 「食べ放題だからって食いすぎじゃね」 急に恥ずかしくなって、その場から離れようとしたとき、 「わ〜、ここの焼肉屋さん、どれもこれも美味しいですね!」 少しわざとらしい大きな声が聞こえました。 そう言って元々座っていた席を立った翼くんは私の隣に座りました。 「ここの焼肉、美味しいですよね!オレさっきから箸が止まらなくて!」 そう言いながら、焼けたお肉に取り箸を伸ばす翼くん。そんな翼くんを見るやいなや、今まで私を見ていたクラスメイトたちはバツが悪そうに私と翼くんから視線を逸らしました。 「もうお腹いっぱいですか?よく食べるお仲間さんを見つけたと思ったんですけど……」 翼くんは取り箸でお肉を焼きながら言いました。 「ほら、お肉焼けましたよ!食べませんか?」 翼くんが私に問いかけます。 「……うん、食べる」 私がそう答えると、翼くんは満面の笑みを浮かべて、 「はいどうぞ!」 そう言って、私の取り皿に焼けたお肉を分けてくれました。 私は気が抜けたのか、安心したのか、分けてもらったお肉を食べながら大粒の涙をこぼしてしまいました。 翼くんは一瞬驚いた顔をしていましたけど、すぐにいつもの優しい微笑みを見せてくれて、 「我慢しなくていいんですよ、たくさん食べられるって素敵じゃないですか。他の人より食べる幸せを多く感じられるんですから」 翼くんはそのあとは一言も喋らず、泣きながらお肉を頬張る私の隣にずっと居てくれました。 あのとき翼くんが焼いて分けてくれたお肉は今まで食べた食べ物で1番美味しかったです。
4.伊集院北斗
北斗とは大学で通年の科目が一緒になって知り合った。同じ高校出身の先輩が北斗と知り合いで、あんまり授業に出れないから色々助けてやってほしいと頼まれて面倒を見ることになった。 ノートやレジュメを写させてやるくらい別に構わなかったので引き受けたら、北斗は何か礼がしたいから自分にできることがあれば言ってくれと言い出した。あの伊集院北斗が。女の子が言われたら泣いて喜びそうなセリフだが生憎俺は男で、大したことは思いつかなくて、冗談半分で恋愛相談を持ちかけた。 当時、俺はサークルの同期で好きなコがいた。新歓で一目惚れして、そのコを追いかけてサークルに入ったほどだった。誰にも言ってなかったけど、北斗は実質他人だし、なんか経験豊富そうだしで話すのにちょうどよかった。 他に話せる相手がいなかったせいか、俺の恋バナは留まることを知らなかった。北斗は初め、俺がどう思う?って聞いたタイミングで、彼女が俺のことをどう思っていそうかとか、俺が彼女にどう接すればいいかとか、思うところを伝えてくれていた。 ある日、俺のマシンガントークの途中であいつが突然笑い出した。 「君、本当にその子のこと好きなんだね」 その時の俺は自分のマジさを笑われたと思ってかなりイラッとしたが、今思うとあの時の北斗は俺のマジさに感心していた。 その日から、北斗は俺がどう思う?って聞いたこと以外にも色々アドバイスしてくれるようになった。まずは眉毛をこまめに整えることから、ヘアセットのコツ、値段のわりに保ちがいいワックス、あのコが好きそうなファッション。どう見ても俺よりモテそうなやつの言うことなので軽い気持ちで素直に聞き入れていたら、夏休み明けには俺は別人のように垢抜けていた。 見た目が良くなったおかげか、俺が自信を持てるようになったからか、あのコともだんだん良い雰囲気になってきて、ここからが北斗の本領発揮だった。女の子が嫌がること、さりげない気遣い、デートの穴場……なんでも知ってた。 一方的に教えてもらってばかりだったので、せめてもの埋め合わせのつもりで、出れなかった授業の範囲でわからないとこあったら聞けと言ったら、意外にも色々質問してきた。芸能人もちゃんと勉強するんだなと失礼なことを思った。 俺が相談をする中で、北斗の方も昔の恋愛経験を少し話してくれる時があった。おいおいアイドルがそんな話していいのかよと思ったけど、そんだけ俺のこと信用してるのかと思うとなんか嬉しかった。 言っとくけど、あいつが芸能人だったからじゃなくて、男の俺から見てもマジでいい男だったから嬉しかったんだぞ。 最初の頃どうせチャラ男だと思い込んでちょっと冷たくしてた俺はバカだったと思う。あの時はごめんな。 北斗のおかげで、クリスマスに彼女に告白して俺らは無事付き合うことができた。付き合ってからも順調で、北斗も祝福してくれた。 後期が終わって北斗は無事単位を取れたので俺も晴れてお役御免になったわけだが、あいつは最後に「授業ではいつも助けてもらったし、俺も一年楽しかったから」って俺と彼女にライブのペアチケットをくれた。行かないわけがなかった。 Jupiterの知名度には似合わない狭いライブハウスで、俺は初めてアイドルの北斗を見た。期待通りのバチバチにキマったパフォーマンスと一緒に、ユニットの仲間と互いのミスを対等にフォローし合ったり、ふざけてじゃれ合ったりする北斗を。 それは見たことないほど無邪気な表情で、こいつこんな顔できたのかって思った。しかも、振りをミスって苦笑いしながらウインクしてもアンコールで汗だくになって歌ってても北斗はかっこよかった。 俺は北斗や北斗が教えてくれたことのほんの表面にしか触れてなかったような気がして、よく分からないショックを受けた。 学年が上がると俺の学部は通うキャンパスが変わったので、北斗と顔を合わせる機会は無くなった。あいつも事務所移籍だとかでバタバタしてて、もしかしたら大学も辞めるかもなんて噂を、学食で小耳に挟んだ。 付き合ってからも彼女とのことで悩むことはあったが、俺はもう北斗の授業の代返もノートコピーもしていないことを言い訳にして、あいつに相談するのをやめてしまった。以前北斗がくれたアドバイスを思い出しては、その通りにした方がいいとわかってるのに無視をした。 もう予想がついてると思うが、彼女には次の夏休みの前にフラれた。元カノになったあいつは今、あの日のライブとJupiterを入口に315プロの別のアイドルを推している。 ハマったのが北斗やJupiterじゃなくてよかった。もしそうなってたら俺は完全に正気を失ってた。 ……いや、いっそその方がよかったな。そしたら俺はお前がどれだけいい男でもお前を嫌いになれたよ。 結局、彼女が惚れてたのは北斗が作った俺のガワだった。でもそれは北斗が悪いんじゃない。俺に中身が伴ってなかったのが悪い。 そうだ。誰がお前のせいになんかしてやるかよ。俺はそんなダセー真似も、これ以上お前に振り回されるのもごめんだね。 見てろよ。これから俺は自力で男磨いて女心も勉強して、お前に負けないくらいのいい男になってやるからな。 そんな覚悟を決めるために、奮発して前からチェックしてた高めのワックスを買った。 家に帰って動画見ながら筋トレしてたら、北斗が世界一キマったヘアセットで俺が買ったワックスのCMに出てた。 クソが!!!!!!!
5.東雲荘一郎
高校が一緒でした。男です。アイツスタイルいいし顔やたらと綺麗だし料理(菓子作り)上手いしトークも面白いのに神谷の保護者枠で尻拭いして回ってるのが妙にダサくて好きでした。恋愛的な意味で。 高二はクラス一緒だったんで掃除当番とか授業のグループにかこつけて話しかけに言ってました。 最後の思い出にしようと思って高三のバレンタインに「俺にチョコくれねぇ?」って頼んだらちょっと眉しかめて「……なんでやねん」って言われたけど当日ガトーショコラとトリュフのセットとかいう本命にあげるんかみたいなラインナップ渡されてビビりました。当然美味かったっす。クラスの女子とかにはばら撒き用のココアクッキーでした。今のところこれが俺の人生の一番の自慢です。 連絡先も知らないんで卒業してから何やってんのかな~とかぼんやり思いながら生きてたらテレビから「東雲荘一郎です」って聞こえて寿命縮むかと思いました。 今は彼女とカフェパレ推しです。彼女も東雲推しなのでこの話は墓場まで持っていきます。言ったら殺されますからね。
6.硲道夫
高3の時ミッチーにめっちゃ助けられたよ✌️ 昔からなんとなく美容系の学校に行きたいな〜って思ってたんだけど、ウチ勉強全然がんばってこなかったし飽きっぽいしで周りからめっちゃ反対されてて超悩んでたの。でもウチも日頃の行い?からそうなるのなんとなーく分かってたからもういいや〜笑ってなっちゃってて、でもその事ミッチーにちょっと話したら「君の夢を君が否定してどうする、もっと先生を頼りなさい」って!!!!あの時のミッチー、マジでかっこよくって好きになるところだった笑その後色々勉強とか受験のいろんな方法?とかも一緒に調べてくれて〜、しかも私だけじゃなくてクラス全員だかんね!?マジ先生すごいって思った!!!今の夢はね、いつかミッチーのヘアメイク担当すること〜!夢にむかってがんばる楽しさはミッチーが教えてくれたからね!絶対担当するかんな〜!待ってろミッチー!!!
7.古論クリス
親父が漁師だった。 後を継ぐのが嫌で、足りない頭で必死に勉強して逃げ込んだ大学で言い訳みたいに海洋学を専攻した俺の前にあの人は現れた。 最初はいやによく喋る声も背も大きい奴だなと思った。他の教授連中は学者の塊みたいな陰気なおっさんが多くて、俺みたいな日陰者には居心地がよかった。だから助教は正直浮いてた。眩しすぎる金髪が違和感の象徴みたいだった。 毎回人数が減っていく講義に単位のために出続けていた初夏の日、台風が近づいていた天気の最悪な日だった。薄暗くてだだっ広い講義室には俺しかいなくて、助教は9時ぴったりにやってきた。ぽつんと座る俺を見て目を丸くして、孤高なシュモクザメかと思いましたなんて苦笑いをこぼした。いつもは子供みたいな助教のあんな顔は初めて見たし、あんな小さな声も初めて聞いたから、気が付いたらなんで海が好きなんですか?なんて口に出してた。多分いつもみたいに笑ってほしかったんだと思う。 それから一限が終わるまで二人でとにかくいろんな話をした。助教が見てきた世界中の海の話を聞いた。壮大すぎる夢を聞いた。俺の実家の話もした。いつもの調子を取り戻した助教は矢継ぎ早に質問をしてきて、あんまり喋るのが上手くない俺の話を嬉しそうに聞いてた。話しながらああ、俺も海が好きなんだなって気付いた。助教のこともよくわかんないけどいいなって思った。なんか、楽しかったんだと思う。 全員欠席なんてことはあの一度きりたっだけれど相変わらず人数のまばらな講義はその後も同じで、結局皆勤賞だったのは俺だけだった。助教の話が好きだった。憧れた。 一人暮らしにようやく慣れてきた春に助教はいなくなった。驚いたし、混乱した。共有できる人がいなかったから、その分勉学に励むことしかできなかった。 卒論が煮詰まっていた秋の深夜に、気分転換で付けたテレビに見覚えのある金髪が映って誇張抜きで椅子から転げ落ちた。助教だった。もう助教じゃなかった。アイドルユニットLegendersの古論クリスだった。あの夜のことはもうあんまり覚えてない。 卒業してすぐ地元に戻った。親父に頭下げてまた一から教わりつつ船舶免許を取った。ばったり再会した中学時代のクラスメイトとその年の内に結婚もした。 俺は海に帰ってきて、あの人は海よりも広い世界に漕ぎ出して行った。俺なんかが想像もできない世界に。 来月親父の船で初めて一か月の漁に出る。 荷物を減らすようにと耳にタコができるまで聞かされてはいるけれど、お守り代わりに一枚のCDを持って行くことと、灯台を見る度に思い出す人がいることだけは墓場まで持って行く秘密だ。
8.牙崎漣
昔ちょっとだけたい焼き屋やってました。 じいちゃんの店なんだけど、脚やっちゃって入院してて、その代打で数ヶ月くらい。 じいちゃんからちょろっと教わった程度なのに今日から1人で店やれなんて無茶ぶりにも程がある。一応焼けますよ〜…ってレベルなのに。ただ不幸中の幸いか、ぜんっぜんお客さん来ないのよ。まあ寂れた公園の端っこにあったからさ。デカデカした赤い屋台なんて普通ビビって近づかないわな。 そんな感じでめちゃくちゃ暇だったので、いつしか公園に来る人を観察するのが楽しみになってた。 土木のお兄さん。いつも12時過ぎに公園に来て、ベンチに座って昼飯食ってた。でっかい弁当をものの5分で空にしてて、見ていて気持ちいい。たまにたい焼きをデザート代わりに買ってくれた。 たまに散歩に来るじいちゃんとばあちゃん2人組。来た時はいつも2匹買ってってくれた。家でお茶いれて一緒に食うんだって。ああいう風に歳とりてーよなあっていつも思ってた。 あともう1人。いつの間に来ていつの間にか居なくなってる、そんな子。 銀髪だから結構目立つ。顔も日本人離れしてて、綺麗だったんだ。 いつも空手…?拳法かなんかの型を練習してた。あとはベンチで寝てるか、猫と遊んでるか。学校とかは行ってなかったぽい。 結構肌寒くなってきたある日、あのこはベンチに座って猫抱えたまま動かなかった。何があったのかはわかんないけど、服がちょっと汚れてた。心配になって話しかけたけど、ちらっとこっちを見ただけで返事はなかった。 お腹すいてんのかもなあって思って、焼きたてのたい焼きを紙に包んで渡した。「熱いから気をつけてね」って言ったら、俺をじーっと見てんの。やっぱり綺麗な子だなと思った。 そういえば海外って、無理やり食べ物を渡して後から請求するって手口があるらしいな。ふと思い出したのでついでに、「タダでどうぞ」と付け足して言った。 俺からたい焼きを受け取ると、あのこはぺろっと一匹平らげた。そんで紙を丸めて、完璧なコントロールでゴミ箱に投げ入れたあと、俺にこう言ったんだ。 「なかなかウマかったぜ!この食いモンの名前を教えやがれ!」 それからすぐ、じいちゃんは復活して俺はたい焼き屋をやめた。あのこがどうしてるか気になってじいちゃんに聞いたけど「そんな子は来てないなあ」って。俺も何回か見に行ったけど、やっぱりあのこに会うことは無かった。 それが数年前の話。じいちゃんはもう引退して、のんびり暮らしてる。俺ももう人生でたい焼きを作ることは二度と無い。 そんでさあ、今日テレビ見てたらさ、出てんのよな、あのこが。 とらきば…どう?ちょっと後でググるから待って欲しい。アイドルなんだって。 老舗のたい焼き屋で食べ尽くす!みたいな名前のVTRでさ。すんげー食ってんの、めっちゃ美味そうに。もっと食べさせてあげればよかったなー。あれからたい焼きのこと好きになってくれたのかな。…俺のおかげだったりするのかな。 そこでなんか辛くなって、チャンネルを変えようとしたんだ。そしたらインタビュアーが聞くのよ、「今まで食べたたい焼きでいちばん美味しかったのはなんですか?」って。 「公園にあったシュミの良い屋台のがいちばんウマかったな!おいオマエ!どっかで聞いてたらオレ様に連絡しやがれ!」 そこでテレビを切った。 そんなこと出来るわけないじゃん。 だって君はもう───────
9.桜庭薫
恋バナとかじゃなくてすみません。 手術が怖くて泣いてた時にかけてくれた「君は僕を信じていればいい」という言葉、忘れません。アイドルになった桜庭先生を応援できるのは、他でもない桜庭先生のおかげです。 ありがとうございます。
10.黒野玄武
玄武くんと同じ家(施設)にいた玄武くんよりひとつ上の女です。玄武くん、小さい頃から大きくて、みんなのお兄ちゃんしてて、お菓子とかもちびたちに自分の分をわけてあげるような子だったから、もっとお菓子を食べてほしくてバレンタインにかこつけてチョコ渡したんです。 ちゃんと食べてほしかったから「本命だから、誰かにあげたりしないでね!」て言い訳までして。 キョトンとしたあとちょっと照れたように「ありがとな」て言ってくれた顔を見て、本物の本命チョコになりました。 私が製菓学校に進学決めた理由はたぶんそこが原点で、そういう意味でも玄武くんは私のアイドルで、初恋です。 ちなみにホワイトデーのお返しは、玄武くんがちびたちと作ったクッキーでした。
11.桜庭薫
桜庭とは高校の時、物理選択の授業で隣の席でした。物理の授業は隣の奴と交換採点をすることが多くて、いつも俺は桜庭のほぼ満点みたいなプリントを丸つけしていました。逆に桜庭は丸は付けず間違ったところだけに赤を入れるタイプで、俺のプリントは赤だらけになって突き返されていました。ある日、消し忘れた落書きの絵に桜庭が「2点」と書いてきて、「いやこれ何点満点?」と尋ねたのが話すようになったきっかけだと思います。それから同じ医学部を目指す同士でつるむようになりました。勉強を教えてもらったり、出題し合ったりして、高校三年生の1年間はあっという間に過ぎていきました。いろいろ切磋琢磨はしたものの、結果は桜庭だけが合格でした。なんとなくそうなるんだろうとは思っていたけど、桜庭はそうでは無かったらしく俺以上にショックを受けてて、その時俺は始めて、もっと勉強すれば良かったと思いました。諦めなきゃよかった。諦めてしまったことを、桜庭に話しておけば良かった。それから桜庭と何を話したかは覚えていません。ただ卒業式の時に写真を一枚撮ったきりです。桜庭がアイドルになったと聞いてCDを買いましたが、なんとなく聞けないままでいます。
12.ピエール
多分あれはピエールくんだったんだと思います。多分ですけど。何年か前に仕事を辞めて、いろいろあって病院に通ってました。バスを降りて少し病院まで歩くのですが、何故か何度も行ったことがあるはずなのに病院までの道がわからなくなっていました。その頃、精神的に追い詰められていたので、それが理由だったんじゃないかと思います。道端の案内図を目の前にして、ぼーっと立っていました。地図を見ても碌に頭に入って来なくて、このまま何も出来なくなるんだろうなと思っていたその時、声をかけてきたのがピエールくんでした。「まいご?」「大丈夫?」「道 わかる?」と片言の日本語なのに必死に私を心配してくれているようでした。××病院に行きたいと伝えると、「病院!わかる!」と言ったあと私を少し眺めて、「痛い?」「へいき?」と尋ねてきました。私も年齢だけは大人なので大丈夫だよと伝えたのですが、ピエールくんは何を思ったのか、おもむろに私の手を引いてとてもゆっくり歩き始めました。結構な頻度で私を振り返りながら、片言ながらもかえるのぬいぐるみのことや、お友達のことを話してくれました。病院に着いても尚、心配そうに私を見て手を握ったままでした。なんだかその様子がおかしくて、私は笑って「送ってくれてありがとう」と言いました。するとピエールはほっとした様子で「おねえさん!スマイル!」「きらきら!」と言って嬉しそうに笑いました。それからピエールくんとは手を振って別れました。その日以来、その子と会っていません。私も通院する必要が無くなり、また新しく働き始めています。もう会えることは無いかもしれませんが、あの日ピエールくんと歩いた時間は、私の人生で必要な時間だったんだと感謝しています。ありがとう。
13.硲道夫
高校のとき、硲先生に数学を教わっていた生徒のひとりでした。間違っても生徒を相手にするような人ではなかったので、当時の自分は「この感情は尊敬や憧れ以上のものではない」と誤魔化していましたが、大学生となった今思えば、あれは完全に恋でした。硲先生が突然学校を辞めてアイドルになったのは、私が高校2年生のときのことでした。数学科を受験する気持ちを固めたばかりだった私は、ひどく裏切られた気持ちになり、特に3年生の春先は、勉強に全く身が入りませんでした。 その後、復讐心にも近いものが燃え上がったおかげで、志望校には無事合格することができました。しかし、今でも私は、いちばん不安な時期に突然目の前からいなくなったあの人を、どこか恨んでしまっています。「生徒を導く」って、あのとき彼らの目の前にいた私たちはいきなり道標を失ったのに、よく言うよな、って思ってしまいます。もちろん八つ当たりです。勝手に恋をして、勝手に裏切られた気持ちになっているだけです。間違っているのは私です。硲先生の志は教師時代からずっと変わらなくて、ただその声の届く範囲が、ひとつの教室、ひとつの学校から、不特定多数のもとへと広がっただけです。そんなことはわかっているんです。 それでも、今でも私は、ステージの上でマイクを握り、歌って踊って汗を煌めかせる硲さんよりも、教壇に立ってチョークの粉で袖を汚し、フリーハンドできれいな図形を描き、抑揚のない声で数式の美しさを語り、初歩的な質問にもまっすぐ目を見て丁寧に答えてくれた『硲先生』に恋をしています。あの美しさは、比喩ではなく彼の「生徒」だった私たち、いえ、私にしか知り得ないと断言できます。絶対に叶わない恋でした。そして一生、終わらない恋にもなりました。
14.水嶋咲
いや 誰なの?水嶋咲って。 たぶん たぶんあの たぶん彼 たぶん彼ですよね?小学校の時、クラス同じだった██くん。 すみません こんな最初から荒ぶって… ██くん、私の初恋だったんです。きっと。 どうしてこんなに最初からぼんやりしているかと言うと、あの「水嶋咲」さんが██くんだっていう自信がなくて… ██くん、結構がっしりしてたイメージでしたから。それに、少し近寄りがたくって。 でも、そんなところがかっこいいなあ…って思ってたんですよね。小さい頃ってクールで逞しい人とかキャラに憧れがちじゃないですか? だからそんな感じで、遠巻きに好きでした。 いやあ、でもまさか██くんがねえ… やっぱり違うのかな?どうなんだろう? でもなんか…楽しそうで良かったです。 今の私は、██くんより、水嶋咲のほうがいいかもなあ。
15.都築圭
翻訳していますが、不自然だったら申し訳ありません。 それはかなり昔のことですが、私の子供時代を思い出させます。 彼は私と同じアパートに住んでいて、少し離れた部屋でそれぞれの家族と暮らしていました。彼は日本人とのハーフだったので、少し幼く見えたのかもしれません。私の方が年上かもしれないけれど、彼の正確な年齢はわかりませんでした。 彼はいつも空想にふけっていて、親しい友達がおらず、ちょっと変わった子供のようでした。 冬のある日、アパートの外で彼に偶然会いました。私は彼に気付きましたが、彼は私に気付かず、夢中で歌っていました。彼が歌い終わると、私は初めて彼に声をかけました。「素晴らしい声ですね」と。彼は天使のような微笑みで、「ありがとう」と答えました。それが私たちの初めての会話でした。 私が彼に歌の練習をしている場所を尋ねると、「内緒」と言って、彼は唇に人差し指を当てていたずらっぽくくすくす笑いました。おそらくそれが私の初恋だったでしょう。薄着の彼に、私はマフラーをあげました。 その後、私はベルリンを離れて遠くの学校に行ったため、彼との出会いはそれっきりでした。最近、日本のアイドルがドイツでライブをしたという情報を聞いた時、彼の名前が出て驚きました。ツヅキケイ。私は日本語が分かりませんが、その日私を初恋にさせた少年の名前だと確信しています。 今、彼はあの天使のような笑顔で多くの人々を魅了しているのでしょうか。いたずらっ子の笑顔は、私だけのものでありますように。
16.古論クリス
10年前に絶対古論クリスだって人に出会って一目惚れした私の話なんですけど聞いてくれますか?? あの、静岡に有名な深海水族館があるんですけどそこに家族と行ったんですよ。 昔から魚とか海とか好きだった当時10歳の私、シーラカンスの冷凍保存をみて大興奮。ほんと、強そうで、歯が鋭くて、生きた化石ってだけでもカッコイイのに見た目までカッコイイとかマジやばいでしょ? でも6歳の弟はシーラカンス見るなりビビっちゃって。 たしかに当時の私たちとサイズが変わらないし、なんなら弟よりシーラカンスの方が大きいんじゃ?って感じだったからビビるのもわかるんですけど、ずっと「怖い」「早く帰ろうよ」って泣きついてくるからウザくて。 弟のワガママにどうしたものかと悩んでいたらお兄さんが声をかけてくれたんですよ。 「大丈夫です、この魚はとても優しい魚なんですよ」 背が高くて、おとぎ話の中から出てきたような顔立ちのお兄さん。 「普段は洞窟で暮らすような臆病な子ですから人を襲うことはありません。」 弟に目線を合わすようにしゃがんで話してくれました。 お兄さんの話を聞いてから弟も怖くなくなったのか、冷凍保存のシーラカンスをまじまじと見つめていました。私はお兄さんから目が離せなかったんですけどね。 美人なお兄さんで、魚のこと詳しいから飼育員さんかな?って思ってたら全然、普通のお客さんだったのマジびっくりした。 その水族館って、日によるんですけど館長自ら展示されてる深海魚について語ってくれるイベントがあって、そのお兄さん、客席で私らと一緒に話聞いてて。そこで「この人飼育員さんじゃないんだ」って気づいたんですよね。普通に質問コーナーとかで手上げて質問してたし。まるで子供みたいに無邪気なお兄さんだったんですけど、ほんとにイケメンで優しいし声も好きだし魚のこと詳しいから気になって気になって笑。 イベント終了後にお兄さんのことが気になるから後を追ってたら、館長さんとお兄さんがお話してて。 「今日も来てくれたんですねクリスさん!」って館長さんが言ってたから「あの人の名前はクリスさんって言うんだ」って覚えました。好きな人の名前って一生忘れないでしょ?未だに覚えてるもん。 その後お兄さんに声をかけたかったんだけど、弟に声かけられて目を離した隙に見失っちゃって。仕方なく館長さんに聞きに行ったんです。「さっきのお兄さんって何者なんですか」って笑。 「あークリスさんね!まだ学生なのに僕達プロ顔負けの知識量でいつも驚かされてるよ。」 どうやらこの辺では有名な人みたいで、月に何回も水族館にくる常連さんらしい。海洋学者?を目指してるんだとかなんだかんだと館長さんが話してくれましたが当時の私にはちんぷんかんぷん。 とにかく、クリスさんというお兄さんにもう一度会いたい。ただそれだけでした。かっこよくて魚のことも海のことも詳しくて、優しくて…。 クラスの男子がイモムシにみえるくらいにはイケメンだったと自信もっていえます。(クラスの男子ごめん) お兄さんともっとお話がしたい! その一心でその後も何回か家族でその水族館を訪れては、クリスさんが来ていないか確認するというストーカー染みたことをしていました笑 当時の私必死じゃん笑 でも残念ながら会えなかったんですよねぇ。 クリスさんって名前も、あの顔も、全部覚えていたから見間違いや人違いもしてない。何時間も水族館にいて魚じゃなくてお客さんの顔を見て回るという今やったら通報される様なことしてましたね。 結局、何度行ってもクリスさんに出会えず、初めてあったあの日以来会えずに月日が経つばかりでした。 あまりにも会えないから「あのお兄さんって実は人魚かなにかだったのか?」と思ってました。 10年経って、音楽番組に映る彼を見るまでは。 まさかと思った。初恋の人のような憧れの人の顔を忘れるわけが無い。しかし10年も経ってるし、他人の空似なんてことも有りえ…… 「Legendersの古論クリスです」 クリスだって!!!!!!!!!!!!間違いないじゃん!!!!!え!!??!彼アイドルだったの!!!?!???そりゃ顔がいいわけだ!!!! 急いで弟にもテレビをみせて確認しましたが弟は流石にお兄さんのこと覚えてなかった。ちくしょう。 普段あまり音楽番組なんてみないのにその日は画面に食いついて見てしまった。 クリスさん、番組内でもちょこちょこ海の話や魚の話してるし、この優しい声と話し方は絶対間違いなくあの時のお兄さんだって、確信しました。 それから色々調べて知りましたが、元々は大学で海洋学を教える教授だったんですね。一足遅かった。 というのも、私、今大学で海洋学を学んでるんです。 海のこともっと知りたくて、学科専用の船に乗って関東近海を調査ができる大学に入学したんです。10年前のクリスさんが「海洋学者を目指している」と知った時から気になってたので、大学は絶対に船に乗って海に出て直接自分の目で見れる学校に入ろうって決めてたんです。クリスさんの授業受けたかったよ〜!!うちの学校でも講師してくれ〜!!笑 水族館で出会ったときのお兄さんも素敵だったけど、 テレビで歌って踊るクリスさんはもっと素敵でした。 クジラの様な歌声、ビブラート、シビれる。 もう二度と出会えないんじゃないかと思ってたお兄さんとこんな形で出会えるなんて夢みたいですね。 クリスさんのおかげで夢を見つけたので、お礼も兼ねてファンレターを書こうと思います。あの水族館のシーラカンスの写真と、10年前の思い出も一緒に。
17.水嶋咲
アイドルになる前の水嶋咲ちゃんに、1度だけお会いしたことがあります。 その日私は、はじめてデパートのコスメ売り場を訪れました。 大学入学前に、お化粧を覚えたいなと思って。 でも、高校はメイク禁止だったから、何が何だか分からなくて。 お店の人に教えてもらいながら…と思ったんだけど、週末の昼下がり、どこも忙しそう。 そもそも、どのお店に行けばいいのか、店員さんに声をかけていいのかもわからず、 コスメ売り場をうろうろキョロキョロ。 フロアにはお洒落できれいな方が行き交う中、ショーウィンドウのガラス越しに映るのは、自信なさげで…なんだか冴えない私。 急に自分が場違いに思えて、なんだかすごく恥ずかしくなって。 やっぱり帰ろう、そう思ったとき。 「ねえ、」上から降ってきた明るい声に思わず顔を上げると、ツインテールが良く似合う、とびきりかわいい子と目が合いました。 「もしかして、何か探してる?」そう尋ねてくれた声があまりに優しくて。 安堵から思わず私はその子に泣きついてしまいました。 事の顛末を聞いてくれたその子は、 「じゃあ、パピっと一緒に、見て回ろうよ!あたしも一人じゃちょっと心細かったんだぁ」と、 私をショッピングに誘ってくれました。 「お店、たくさんあって迷っちゃうよね」 困っていた私に手を差し伸べてくれて。 「ピピっとときめく色とか、雰囲気ってある?」 私の好みを優しく尋ねてくれて。 「うんうん!じゃあ、このお店がイメージに近いかも…」 入りづらかったお店に手を引いてくれて。 「ベースメイクと、ポイントメイクがあってね…」 その子が声をかけてくれたから、私は楽しくメイクについて知ることができました。 コスメ一式…は、さすがに高校生の私にはまだ手が届かなかったけど、お気に入りが見つかったんです。 「あ!それパピカワだよね!実は私も持ってるんだ」 その子は、私が見ていたコスメを指して言いました。 「えっとね…ほら!」 ポーチから出して見せてくれたのは、キラキラまばゆいローズのアイシャドウ。 「私のお気に入りなんだ~!実はね、頑張ってお小遣い貯めて、この間買ったの!」 そう教えてくれた笑顔が、あまりにも眩しくて。 「あの…お揃いにしても、いいですか?」 気持ちより先に言葉が出ていました。 しまった、真似っこするの苦手な子もいるよね…と焦ってももう遅くて。嫌な気持ちしなかったかな、とおそるおそるその子の顔色をうかがうと。 「…っもちろん!とっても嬉しい!」 満面の笑みに、心配は吹き飛びました。 「…ありがとう!」 私も、とびきりの笑顔で応えて。 色違いのパステルピンクを、そっと手に取りました。 お店を出た後に何かお礼をしたかったけれど、この後は予定があるみたいで。 何度もありがとうを伝えてから、その子とはお別れ。 名残惜しさに振り返ると、少し離れたところで、ケーキのカタログを嬉しそうに見ていた子と腕を組み、楽しげにツインテールを揺らす後ろ姿が。 私は今日何度目かの「ありがとう」を呟いて、その子の背中が見えなくなるまで見送りました。 「次の方、どうぞ〜」 『わぁ!会いに来てくれて、ありがっとー!』 『今日のお洋服、すっごく似合ってる!もしかして、この間の雑誌の…?やっぱり!お揃い嬉しいなぁ』 『メイクも、とっても素敵!いつもおしゃれで、キラキラしててパピカワだね!…』 いつか見た満面の笑みを、今度はキラキラの衣装を身に纏って、咲かせてくれるアイドル。 あの日からずっとずっと、私のいちばんの憧れ。 あなたのおかげで、私は笑顔で今、ここにいられるんだよ。 「ありがとう…!咲ちゃん、大好き!」
18.古論クリス
"違う"人を排除する、って文化は、いつになったらなくなるのか。 古論くんと同じクラスだった時、嫌ほど思わされました。 まあガキだったんですけど、当時のアタシも。 耳にしただけの「タヨーセイのソンチョー」とか、周りのカスどもに任された委員長の立場とか、そんなこんなで、逆に古論くん以外を見下してたっていうか。 だから諦めたんですよね。聞いてくれます? 彼の隣にいるほど、もう自分の汚さがイヤでイヤで! 具体的なエピソードでも話しますか。修学旅行の行き先の話したときとか。 意見出さない割に、自分の行きたくないとこ言われるとしかめっ面するクズと同じグループだったんですよ。で、そのグループに古論くんもいた。海好きの古論くん。行き先は京都奈良。もちろん彼は京都水族館出しますよね。で他のアホの顰蹙買って。なら出せよ代替案をよ、とは思いましたけど、アタシもぶっちゃけ(京都で水族館……?)って思っちゃって。流れねえかな、って思ったら。 あの険悪な空気の中でダイマ始めたんですよ、アイツ!京都水族館の!(爆笑)もう、ロックだよロック!聞いてるうちに面白くなっちゃって、「委員長の言う事聞けねえのか」って全員黙らせて京都水族館行きました。なんだかんだアホどもも楽しんでたし、そんなものなんですけど。 や〜、好きだなあ……って思いましたけど。思いましたけど、アタシじゃ無理だなって思いましたね。周りのことよく考えてないだけかもしれないんですけど、古論くんって人のことずっと否定しないから。ほら、今アタシしたでしょ?こういうカスと付き合っちゃダメなんですよ。 無意識に他人のこと見下すカスも、自覚あるのにやめられないアタシも、古論くんに近づくべきじゃないんですわ。 だから心配だな〜、Legenders!あの陰陽師の人はわかんないけど、センターの子かなりバッサリいく子じゃないですか。まあ、古論くんが楽しそうだから大丈夫なんでしょうね。アタシは、好きなことを話してる古論くんに惚れたので、その機会がたくさん見られるのはありがたいかもな。 古論くん、芸能界とファンのカスどもに負けんなよ!アタシ含む!
19.握野英雄
駅のトイレで助けてもらいました。当時の俺は就活生で、内定を貰えない日々に焦りを覚えていました。その日も大事な面接の予定が入っていたはずです。まだ結び慣れないネクタイを身につけていたのですが、駅のトイレで少し直すはずが上手くいかず、最終的には外して結び直そうとしていました。家では落ち着いてやれば出来たのに、駅のトイレでは人の目があるせいか焦って上手く結ぶことができませんでした。次第に「こんなことも出来ないなんて」「就職なんて出来ないんじゃないか」なんてことが頭を過ぎり、泣きそうになっていました。その時、「なあ」と声を掛けてくれたのが握野さんでした。最初は鏡の前を独占していたせいで怖い人に絡まれてしまったのかと思い、慌てて謝ろうとしました。しかし握野さんは「ちょっと貸してくれ」と言っててきぱきとネクタイを結んでくれました。結ぶ間も半泣きで戸惑う俺に「就活生?」「大変だよな」と声を掛けてくれました。突然のことで碌にお礼も言えないままでしたが、握野さんが別れ際に「今は上手くいかなくても、きっと見ててくれる人がいる」「頑張れよ」と背中を押してくれたこと、本当に嬉しかったです。あの時はありがとうございました。その後、無事就職先が決まって、毎日FRAMEの曲を聴きながら出勤しています。曲を聴く度に、今もずっと背中を押されているような気がします。
20.舞田類
大学2年の頃、まあまあ病んでた時期があって、寝れなかったり物忘れが激しかったりでまともに授業出れてなかったんですけど。深夜に大学垢で「どっか遠く行きたい」って呟いたら、類からDMが来たんですよ。同じ国際交流サークルだけど、サシじゃほぼ話したことなかったのに、ですよ。あとアイツ馬鹿みたいな数の兼サーしてましたし。しかもそれが、 「Hey, Sota(偽名です)! 海行かない?」 の、たった一行。深夜2時半過ぎに。正直、コイツ確信犯だろって思いましたね。即レスで「行く」って返してましたよ。 で、なんかとんとん拍子に日程とか決まって、2人で駅から海までの30分くらい歩いて。夏前の、ほぼ人がいないビーチに行ったんです。割と梅雨近かったのに、笑うくらい晴れてましたね。ズボンまくって膝まで海に入ったり、水蹴ったりして。いやなんだよこれ青春じゃん、ってなってましたね。めっちゃ冷たかったな。 で、寒くなってきたから上がったら、類にドクペ差し出されたんですよ。ドクターペッパー。俺割と好きなんで、礼言って貰おうとしたらひょいって避けられて。意味わからんくて固まってたら、今度はメントスをちゃんと渡されたんすよ。で、開けた缶指差してニヤって笑うもんだから。もう、なんなんだよお前って思いながら3粒一気にぶっ込みました。噴き出したドクペの勢いが阿呆みたく強いもんだから、類びっくりして放り投げちゃって。2人でめっちゃ逃げ回って爆笑してましたよ。 結局大学には5年間いたけど、あんなに輝いてる瞬間なかったっすね。アイドル向いてますよ、アイツ。
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・投票期間は2月6日(火)~2月9日(金)です。
・好きなエピソードを1つのみ選択し、投票してください。
・同一人物による複数回の投票は禁止とします。
・一人のアイドルにつき、異なるいくつかのエピソードがある場合があります。投票の際にはお気を付けください。
結果発表は2月14日(水)! そう、バレンタインデーです。世間がいつもよりちょこっとだけ恋にうわつく日。結果を楽しみにお待ちください。
それでは、残りわずかとなりましたが最後までお付き合いください!
津野はえ太